先日、夏の文庫フェアで購入した、著者かたやま和華さんの「猫の手、貸します 猫の手屋繁盛記」が読み終わりましたので、今回はその感想をお伝えしたいと思います。
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この作品のあらすじは、ある事情で白猫の姿になったしまった旗本の跡取り「宗太郎」が、人間の姿に戻る為に奮闘します。人間に戻る為には、善行を積むことが条件であり、裏長屋でよろず請け負い家業「猫の手屋」を営み、ネズミ退治や、幽霊供養など、色々な依頼や相談をうけて、人の手助けを行い、善行を積んでいきます!
読んだ感想ですが、宗太郎が行う善行の内容よりも、宗太郎を取り巻く人間関係が面白く、主人公の宗太郎のとても生真面目なキャラクターもそうですが、裏長屋の人々や、猫の手屋の依頼で関わった人たちの生活や人柄が細やかに描かれていて、どのような暮らしをしていたのか頭に浮かんできます。また、互いにお節介を焼きたがる人情的なところも江戸っ子特有なのかなと思いながら、楽しく読み進める事ができました。
ハラハラする要素はなく、とてもほのぼのとした一冊でした!
しかも、猫の姿なのに、二足歩行で背丈も人間の時のままで、完全なる猫の姿ではないので、化け猫に間違われたりもしますが、奇想天外な姿にも関わらず、裏長屋の人々は怖がるどころか、とても友好的で好んで世話を焼きます。猫太郎さんや、猫先生など各々、勝手な呼び名で宗太郎のことを呼んだりしていて、ほっこり癒されます。
この『猫の手、貸します』はシリーズになっており、『化け猫、まかり通る』、『大あくびして、猫の恋』、『されど、化け猫は踊る』と続きます。宗太郎を取り巻く人間模様を楽しみながら、どのような善行を積んで人の姿に戻るのか、見届けようと思います!